【ガンバ革新】背番号10の絶対軸、倉田秋に問う「クルピ新監督、どうよ?」

「プロキャリアのなかでいちばん楽しかった」

 運命のワールドカップイヤーを迎え、意気軒高だ。ガンバ大阪U-23の宮本恒靖監督が監修する、若手主体の合同自主トレ。そこにみずから志願して参加し、さっそくハードなフルメニューをこなしている。背番号10の絶対軸、倉田秋だ。

「もちろんそこ(ワールドカップ)は意識してるし、なんとしてでも代表メンバーには入りたい。若手の練習に参加させてもらって、いつもより早めに身体を作ってる感じですね。まだキャンプ前やけどけっこう上げれてるんで、いい感じでスタートが切れそうな手応えはあります」

U-23世代が中心の20名程度。階段ダッシュやサーキットトレーニング、最後は実戦形式のミニゲームとおよそ2時間のメニューが組まれた。多くのヤングタレントが息を切らすなか、倉田は涼しげな表情で引き上げ、筋トレもみっちり消化して帰路に着くのだ。「休んだんは2週間くらいですかね。僕なんかはそれで充分」とさらり。オフ中もかなりのトレーニングを積んだのだろう。身体つきは見るからにシャープだ。

ガンバでは今季、新政権が発足する。過去セレッソ大阪で三度に渡って指揮を執り、アグレッシブなスタイルで観る者を魅了し続けたブラジル人監督、レビー・クルピ氏だ。倉田は2011年シーズンの1年間だけ、その薫陶を受けている。乾貴士、キム・ボギョン、清武弘嗣らと2列目を構成し、J1リーグを席巻した。

いまや日本代表での足場も固めつつあるアタッカーは、指揮官クルピにどんな印象を持っているのだろうか。

「それはもう、楽しかった思い出しかない。いま振り返っても、プロキャリアのなかでいちばんと言っていいくらい。楽しかったという意味では。僕自身がJ1で初めてレギュラーとして活躍できた1年でもあるし、すごく印象深いです。基本的に攻撃に関しては細かい指示とかはなくて、自由にやらせてもらってたのはあるけど、シュートのとこだけは何回も言われましたね。シュートの数をね。とにかく撃てと。言うても思いっきり撃ったら怒られるから、しっかりコースを狙ってですけどね」

「監督のためにって思わせる、そんな人柄なんです」

 では、新生ガンバでもあの当時のような攻撃サッカーを志向するのか。そこはまだチームが始動(1月20日)していないだけに、倉田も慎重に言葉を選んだ。

「ガンバに来てどんなサッカーをするのか、なんとなくのイメージはありますけど、セレッソの時はメンバーありきのスタイルだったのかもしれない。間違いないのはゲーム形式の練習が多くなるやろうってこと。あとは、僕ら選手を息子のように見てくれて、優しく接してくれる監督。もちろん厳しいところもあるけど、愛情に溢れてるんですよ。監督のためにって思わせる、そんな人柄なんです」

倉田は1月15日、クラブの公式サイトを通じて結婚を報告した。じつは昨年の春過ぎに入籍していたが、公にするタイミングを図っていたところ、延びに延びてしまったらしい。お相手は高校時代から付き合ってきた一般女性だ。「僕は一途なんですよ」と真顔で切り返すが、結婚を機に倉田のパフォーマンスが向上したのは疑いようのない事実である。栄養面でのサポートを受けて、日々のストレスも低減された。日本代表に定着できたのも、夫人の内助の功があったればこそと認める。

「こつこつと、フィジカルも体幹もずっと積み重ねてやってきた。じゃないと身に付かないし、こっからはその質を高めていきたい。やれるだけのことをやり切りたいですからね」

倉田にとっても新生ガンバにとっても、きわめて重要なシーズンの幕が上がる。

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