前橋育英DF松田、「まだ見ぬ」将来の同僚に捧げる優勝 “オンラインな友情”の相手は

会ったことのない東福岡のMF福田からツイッターでエール「選手権、優勝してくれ!」

「会ったことはない」。それでも、将来のチームメイトからの激励に応えるかのような高校日本一だった。第96回全国高校サッカー選手権で少し不思議な経験をしたのは、優勝した前橋育英のDF松田陸だ。J1ガンバ大阪内定を決めた有望株は、同じく内定が決まっている東福岡MF福田湧矢とかわした、“今どき”なエピソードについて明かしてくれた。

8日に行われた流通経済大柏(千葉)との決勝戦、スコアが動かず緊迫したなかで「影のMVP」とも言える働きを見せたのが松田だった。時間が経つにつれて前橋育英が攻勢を強める一方で「後ろは3枚残して、ボランチのいずれかも残るような形でした。いつでもどこで取られても、相手のカウンターに対応できるようにバランスを考えていました」と、リスクマネジメントを徹底。相手のカウンターの契機となりそうなパスにも鋭く読みを効かせてインターセプトし、攻撃の芽を摘んだことが終盤の決勝ゴールにつながった。

今春にG大阪の一員となる松田だが、同い年で戦友となる存在がいる。それが福田だ。福田がキャプテンを務めた東福岡は富山第一(富山)に0-1で敗れて2回戦敗退。2大会ぶりの優勝を逃し、涙をのんだ。その後、松田曰く「あっち(福田)から『選手権、優勝してくれ!』とメッセージが来ました」という。ただ松田と福田は「会ったことがない」とのこと。LINEでもメールでもなく、どうやって……。シンプルな疑問に、松田は笑顔でこう話していた。

「ツイッターでやり取りしたんですよ」

「トップチームでレギュラーを取って…」

 出会う前からダイレクトメッセージでエールを送られる。マンガでもなかなか思いつかないような“オンラインな友情”によって励まされ、辿り着いた日本一の座だったのだ。松田と福田は若手育成に長けていることで有名なレヴィー・クルピ新監督、そしてU-23チームでは日韓、ドイツW杯で日本代表のキャプテンを務めた宮本恒靖監督の下で共闘する。それだけに志は同じだろう。

「トップチームでレギュラーを取って、その後は代表を目指していきたい。(ガンバサポーターからは)メッセージとかが来たりして、今日もスタンドから『写真撮ってください!』と言われたので、嬉しかったです」

松田はプロ入り後の決意と、ガンバサポーターの熱心さを口にした。クラブの未来を背負うべき二人がいち早く築き上げた関係性が、リスタートを切るガンバでどのように発展していくのか。今後に注目だ。

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