日本代表輩出する養成所 G大阪アカデミー…井手口、倉田らロシアW杯の星を磨いたコーチの手腕とは

開催まで半年となったサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会。日本サッカーの底上げが求められる中で、Jリーグクラブの育成組織の重要性が高まっている。「G大阪アカデミー」は宮本恒靖や稲本潤一ら日本代表の主力を輩出し、日本サッカーのレベル向上に貢献してきた。ロシアW杯代表入りが期待されるMF井手口陽介(21)らはG大阪アカデミー育ち。中学生からの一貫した指導体制が強き伝統を築いている。

ハリルホジッチ監督のお気に入り

日本で開催された東アジアE-1選手権の代表メンバーには井手口のほか、GK東口順昭(まさあき)(31)やFW倉田秋(29)、DF初瀬亮(20)らG大阪アカデミー出身者がずらりとそろい、W杯代表入りの期待値が高まっている。

加速度のあるドリブルと豊富な運動量が魅力の倉田は10月の代表の国際親善試合で2戦連続ゴールを決め、ハリルホジッチ監督からの評価も高い。大阪府高槻市出身で、中学生年代のジュニアユースと高校生年代のユースで成長を遂げた。日本クラブユース選手権(U-18)大会では、高校3年次に主将として2006年度大会の優勝に貢献した。

ユース時代の監督だった現ユースコーチの島田貴裕さん(52)は、当時からボランチ起用の多かった教え子について「相手にボールを奪われない良さがあった」と振り返る。長所を伸ばした倉田は攻守に労を惜しまないプレースタイルを確立した。島田さんは「いいところを前面に出して、つかみ取ってほしい」と期待を込める。

井手口は、ロシア行きを決めた8月のアジア最終予選オーストラリア戦で強烈なミドルシュートを決め、代表で存在感が増すばかりの新星だ。ジュニアユース、ユースで育ったG大阪の生え抜き。早くから指導者の目にとまり、通常3次まであるジュニアユースのセレクションを1次のみで合格した逸話を持つ。

的確にパスを出せる判断力

当時ジュニアユース監督を務めた現アカデミーダイレクターの鴨川幸司さん(47)は、井手口がもともと備えていた「的確にパスを出せる判断力」の才能を伸ばすとともに、自ら仕掛けることを意識させた。

井手口には「(パスを)さばくだけではなく、チャンスがあれば前に飛び出して点に絡むプレーができるように」ということを要求し、ゴールに関わるプレーを植え付けた。井手口が得意とするミドルの一発は、ジュニアユース時代から得意なプレーであった。

G大阪アカデミーが重視する指導理念は「技術と判断力」だ。今年からユースに専属のフィジカルコーチを付け、綿密な体作りも強化している。

鴨川さんは「私生活から常に自分で決断して行動ができることが大事。それに、ボールを操れないと自分を表現することができない。アカデミーとして技術と判断力を追求しながら、選手を育てていきたい」と話す。

W杯代表入りを目指す宇佐美貴史(25)=デュッセルドルフ=や、東京五輪世代の堂安律(19)=フローニンゲン=もアカデミーの星だ。G大阪が磨き上げてきた数々の「至宝」が、次々に世界を舞台に羽ばたいている。

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