井手口 史上3番目年少弾!試合前日も天然全開「豪州って強いんですか?」

◇W杯アジア最終予選B組 日本2―0オーストラリア(2017年8月31日 埼玉)

誰しもが足が止まる時間帯で、誰よりも元気だった。1―0の後半37分、敵陣左サイドでパスを受けた井手口は中央に切れ込んだ。「パスは考えてなかった。枠に入れば良いと思った」。フィジカルの強いオーストラリアDF1人を引きずりながら豪快に振り抜いたシュートは、GKの手をはじいて豪快にネット右上に突き刺さった。

「大舞台で監督に使ってもらったので、絶対に結果を残すという気持ちがゴールにつながった」。妻と子供、そして母親らが見守る前で、W杯アジア予選では史上3番目に若い21歳8日でのゴール。「頭が真っ白になりました。決めた時?うーん…持ってる人だなと思いました」。W杯を決定づける一発に、あどけなさの残る顔で満面の笑みをつくった。

いい意味で天然、鈍感だ。前日30日にスタメン出場が決まった。そこに加えてCKなどセットプレーのキッカー役にも指名された。21歳で寄せられたハリルホジッチ監督からの信頼。それでも「嫌だな…と。他の人が蹴った方がいいのに」と思ったと笑わせる。さらに緊張感が高まる一戦を前にしながら「オーストラリアって強いんですか?」と聞いて、周囲のチームメートを驚かせた。ヒーローインタビューでは驚異のスタミナを称えられると「…たまたまです」と珍回答。井手口ワールド全開だった。

ユース時代から将来を嘱望され、足腰は柔道有段者と乱取りをしても投げられないほど強じんだ。その下半身に支えられ、粘り強い守備だけではなく、後半終了間際には膝下だけで振り抜く鋭いサイドチェンジを2本披露。A代表3キャップ目とはいえ、時間がたつにつれて攻撃の起点にもなった。「W杯までまだまだ時間があるので、もっともっと成長したい」。ロシアのピッチに立つ時、急激に進化する“怪物”がどこまで大きくなっているか楽しみだ。

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