【J1経営情報ランク】営業収益1位は浦和。伸び率では鹿島&G大阪が大幅アップ、その理由は…

営業収益――浦和が66億円でトップ。2位の鹿島、3位のG大阪も大幅増で50億円超え。

 Jリーグは7月20日、すでに5月26日に発表されていた50クラブの経営情報に加え、3月期決算の柏レイソル、ジュビロ磐田、Y.S.C.C.横浜の経営情報を開示した。計53クラブの経営情報が明らかとなった。Jリーグ経営本部の発表によれば、J1・J2・J3合計の事業規模(営業収益)は約994億円となり、2015年度から約57億円増加した。同時に営業費用(支出)も約54億円の増加で、Jリーグは拡大均衡で推移しているとの認識を示している。

そして、2016年度の経営情報がすべて明らかとなったなか、サッカーダイジェストWebでは、発表された各クラブの経営情報をもとに、2016年度にJ1に所属したクラブの営業収益や広告料収入、チーム人件費などのランキングを作成した。

まずは、クラブの事業規模を表わす営業収益(売上高)から紹介しよう。

◆営業収益ランキング
1位 浦和 66億600万円(+5億1800万円)
2位 鹿島 55億8200万円(+12億7100万円)
3位 G大阪 51億4600万円(+8億6400万円)
4位 名古屋 47億1300万円(+2億6700万円)
5位 横浜 46億9600万円(+1億2900万円)
6位 FC東京 45億4100万円(-1億3700万円)
7位 川崎 42億5400万円(+1億7700万円)
8位 神戸 38億6500万円(+2億200万円)
9位 広島 37億9400万円(+1億8400万円)
10位 磐田 33億300万円(+3億700万円)
11位 大宮 32億300万円(+1億9800万円)
12位 新潟 29億800万円(+3億9800万円)
13位 柏 28億7400万円(-1億4500万円)
14位 鳥栖 27億6600万円(+2億7700万円)
15位 仙台 22億8500万円(+4600万円)
16位 福岡 18億3600万円(+1億8200万円)
17位 湘南 16億2700万円(+6600万円)
18位 甲府 15億2300万円(-200万円)

トップは今年も60億円を超えた浦和だが、注目は前年比で約12億円アップとなった2位の鹿島と約8億円アップの3位・G大阪だろう。前者は、Jリーグと天皇杯の二冠に加え、準優勝したクラブワールドカップの躍進で賞金などの「その他収入」項目が大幅に増加した。一方G大阪は、ホームスタジアムが4万人を収容する市立吹田サッカースタジアムに変わり、入場料収入の大幅増が増収の大きな要因となっている。

ちなみに2015年から16年にかけて増収となったクラブは、J全体で34クラブに上っている。

広告料収入――唯一30億円を超える1位の名古屋は営業収益の約65%を占める。鳥栖は2年前から倍増に。

◆広告料収入ランキング
1位 名古屋 30億8800万円(前年比+3億1300万円)
2位 浦和 25億9300万円(+4400万円)
3位 横浜 23億6600万円(+1億1000万円)
4位 広島 22億2100万円(+1億5100万円)
5位 大宮 20億7700万円(-1億600万円)
6位 鹿島 19億5800万円(+9700万円)
7位 FC東京 19億3500万円(+2億2500万円)
8位 柏 19億2900万円(+100万円)
9位 G大阪 18億1700万円(-9000万円)
10位 川崎 18億900万円(+2億400万円)
11位 鳥栖 16億3100万円(+4億2800円)
12位 広島 16億2000万円(+1億5100万円)
13位 磐田 15億6900万円(+5400万円)
14位 新潟 10億4900万円(+1100万円)
15位 仙台 9億800万円(-100万円)
16位 甲府 7億3600万円(-1500万円)
17位 湘南 6億8100万円(+1億800万円)
18位 福岡 6億1800万円(+1億4400万円)

トップ3の顔触れは、昨年と変わらず。唯一30億円を超える1位の名古屋は、営業収益の約65%が広告料収入となっており、その割合はJリーグトップ。依然強力な親会社に支えられている構図が見える。

一方で昨年から大きな増収を見せたのが11位の鳥栖。4億2800万円の増加で16億3100万円に。2015年からユニホームスポンサーに就いている、ゲーム企画・運営会社の「サイゲームス」の影響が大きいようだ。2年前の2014年に7億8900万円だった広告料収入は、いまや倍以上に伸びている。

ちなみに、「サイゲームス」は7月20日にセリエA・ユベントスとのスポンサー契約を発表したばかり。新シーズンにはユベントスのユニホームの背中にも「Cygames」のロゴが入ることになる。

入場料収入――新スタで観客増のG大阪が約6億円の増収。

◆入場料収入ランキング
1位 浦和 23億7500万円(前年比+2億100万円)
2位 G大阪 13億9000万円(+5億9500万円)
3位 横浜 10億500万円(+5700万円)
4位 FC東京 9億6100万円(-500万円)
5位 川崎 9億700万円(+1億3000万円)
6位 鹿島 8億6900万円(+8100万円)
7位 名古屋 7億6100万円(+3400万円)
8位 新潟 6億7900万円(-3200万円)
9位 仙台 6億800万円(-5200万円)
10位 広島 5億6300万円(-7500万円)
11位 鳥栖 5億5300万円(-2300万円)
12位 磐田 4億7400万円(+7800万円)
13位 柏 4億3500万円(-8300万円)
14位 神戸 4億2700万円(+200万円)
15位 大宮 3億9800万円(+8300万円)
16位 甲府 3億4200万円(-1200万円)
17位 湘南 3億3100万円(-400万円)
18位 福岡 2億7500万円(+4000万円)

入場料収入は、2016年度も浦和が25億9300万円でぶっちぎりの1位となった。スタジアムのキャパシティはもとより、地元からの根強い支持もいまだ健在。チャンピオンシップやルヴァンカップといった優勝決定戦などの重要な試合も、前年比増に貢献した部分はあるだろう。

注目は、2位のG大阪で、前述したとおり4万人収容の新スタジアムのオープンにより、約6億円増加の飛躍的な増収につながった。また2015年にスタジアムの改修で観客の増加につなげた川崎も依然堅調で、伸び率ではG大阪、浦和に次ぐ3番目で収入額でもJ1王者の鹿島を凌ぎ5位につけた。

一方で厳しい結果を突き付けられたのは仙台、広島、柏か。いずれも5000万円以上の減収となっている。

チーム人件費――J2降格の名古屋が4位の19億8400万円。一方最下位は14位で残留の…

◆チーム人件費
1位 浦和 23億8100万円(前年比+2億8200万円)
2位 神戸 20億6800万円(+3億100万円)
3位 FC東京 20億2500万円(+3億8400万円)
4位 名古屋 19億8400万円(-1億200万円)
5位 横浜 19億6600万円(+1億600万円)
6位 鹿島 19億2900万円(-9400万円)
7位 G大阪 19億円(-5600万円)
8位 柏 17億5300万円(-1億3500万円)
9位 川崎 16億4300万円(-4200万円)
10位 広島 15億5300万円(-2億5600万円)
11位 鳥栖 14億7600万円(+3億7100万円
12位 大宮 14億1100万円(+5100万円)
13位 磐田 13億7800万円(+1億1500万円)
14位 新潟 12億2000万円(+8200万円)
15位 仙台 11億8700万円(+1億5600万円)
16位 福岡 9億3700万円(+3億1100万円)
17位 湘南 7億9800万円(+9900万円)
18位 甲府 7億3600万円(0)

チーム人件費は、浦和が前年より約2億8000万円の増加となる23億8100万円でトップ。チャンピオンシップは落としてしまったが、年間勝点で見れば史上最多の74ポイントを獲得しており、Jクラブ最大の資金力を味方につけたチームの意地を見せたというべきか。

一方で名古屋は人件費4位の19億8400万円をかけながら、J2に降格してしまった。人件費では名古屋の半分以下となる7億3600万円の甲府が14位で残留しているだけに、コストパフォーマンスの悪さが際立つ結果となった。

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