上位対決“阪神ダービー”のポイントは?日本代表5人を抱えるG大阪をハードワークの神戸が迎え撃つ

代表ウィーク明けに行われる“阪神ダービー”。1試合消化が少ないガンバ大阪が3位でヴィッセル神戸が8位。現状で勝ち点差は2しかなく、勝った方が夏場に向けて飛躍のきっかけにできる。

5人が日本代表に参加していたG大阪は難しい状況でアウェーに乗り込むことになる。ケガ明けでジュビロ磐田戦の後半15分から出場したMF今野泰幸がスタメンに復帰できる見込みなのはプラス材料だが、日本代表のイラク戦でMF井手口陽介が脳しんとうを起こし、もし症状に大事が無かったとしても中3日での出場は難しい。遠藤保仁、倉田秋、今野に藤本淳吾を加えた4人がスタメン候補になるが、気温も上がって来る中で、長谷川健太監督のベンチワークも鍵を握りそうだ。

一方で、北海道コンサドーレ札幌に敵地で1-2と勝利してから、中12日で調整している神戸はネルシーニョ監督が全試合スタメンのニウトン、大森晃太郎に加え、札幌戦で得点を記録した小川慶治朗、3試合ぶりの先発に攻守のハードワークで応えた三原雅俊などをどう活用して中盤を構築するかがキーポイントだ。どちらにしてもタイトな守備でG大阪が誇る中盤の自由を奪い、渡邉千真と田中順也の2トップによるポストプレーを起点に小川らが飛び出す形を作っていきそうだ。

昨年の対戦はホームとアウェーともに神戸が勝利しており、G大阪との相性がいい。2016年3月19日のホームの試合は小川の先制ゴールなどで神戸が2-1と勝利したが、ボールポゼッションは神戸が40%。しかしシュート数は13本で、G大阪の5本を大きく上回った。8月20日の試合はアウェーの神戸が前半14分にあげた先制点を守り切り、0-1で勝利した。

神戸が組織的な守備でG大阪からボールを奪い、手数をかけずにシュートまで持ち込む形を増やせるほど神戸が有利になることを裏付けるデータだが、当時の攻撃を牽引し、G大阪戦でも得点しているペドロ・ジュニオールが鹿島アントラーズに移籍し、エースのレアンドロは長期離脱中、新加入のポドルスキも登録期間の都合でプレーが可能になるのは7月29日の大宮アルディージャ戦からとなる。今回の試合で期待されるのは渡邉だ。

第1節から9試合ゴールがなく第10節に先発を外れたが、第11節から3試合連続ゴール。前節の札幌戦は無得点だったが、夏場に向けて着実に調子を上げている。さらには田中順の今季初ゴールにも期待がかかるが、策士のネルシーニョ監督が2列目の選手を渡邉と組ませ、中盤のプレッシャーを高めるプランも考えられる。

G大阪はほとんどの試合でボールポゼッションは対戦相手を上回るが、良い時はワイドから高い位置に起点を作ることができる。サガン鳥栖に3-0で勝利した第12節の試合が象徴的だった。前半33分に倉田がドリブルから右サイド深くに走り込む三浦弦太へ斜めのパスを送ると、クロスに長沢駿が合わせた。さらにオ・ジェソクのクロスに倉田が飛び込んで追加点を奪い、後半アディショナルタイムにも井手口のクロスに長沢がファーサイドで合わせた。この試合は全てクロスがアシストになったが、サイドの高い位置にボールを運べると得点に結び付きやすい傾向が現れている。

逆に0-3と大敗した前節の磐田戦はボールを持ってもサイドの深い位置でボールを持てず、中途半端にボールを失ったところからロングパスに苦しめられた。気になるのが後半の早い時間帯の失点だ。今季のJ1で2つの負けと4つの引き分けがあるが、そのうち4試合で後半10分までに失点しているのだ。前半・後半の立ち上がりと終わりにゴールが生まれやすいと言われるが、G大阪の場合は後半の立ち上がりにチームの機能が停滞し、相手に付け入られるシーンが目だっており、特に注意が必要だろう。

基本的には神戸の守備とG大阪の攻撃がぶつかる形になるが、神戸は縦の速攻、G大阪は高い位置からのプレッシングという裏表の強みを持つ。強度が高い中盤の主導権をどちらが奪い、大きな得点チャンスに結び付けることができるか注目だ。

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