Jリーグ、ナチス連想フラッグ掲出のG大阪に制裁 「差別的行為が発生したことは看過できない」

けん責と制裁金200万円を科し、制裁の理由も説明

 Jリーグは11日、村井満チェアマンは4月16日のJ1リーグ第7節セレッソ大阪対ガンバ大阪で発生したG大阪サポーターによる不適切なフラッグ掲出について裁定委員会に諮問し、G大阪に対して制裁を科すとことを発表した。

ヤンマースタジアム長居でのC大阪対G大阪戦の試合前に、試合前の場外およびビジター側ゴール裏スタンドにて、G大阪のサポーター1名がナチス親衛隊のシンボルマークに酷似したデザインの旗(SS旗)を振る行為を受けて、けん責と制裁金200万円の制裁をG大阪に科すことが決まった。Jリーグは今回の件について下記のように説明している。

「G大阪は、2014年3月8日埼玉スタジアムで発生した事件後、Jリーグからの注意喚起を受け、今回問題となった SS 旗を所持するサポーターグループに対し、SS旗は差別的要素を含むものであるため以後掲出しないよう警告を行っていた。また本件発生後の危機管理対応については、即座に当該サポーターグループを特定し、無期限入場禁止処分を科すなど速やかで適切な対応をとっていた」

クラブがSS旗を所持するサポーターグループに対して素早い対応を取ったとしながらも、「しかしながらクラブは差別的行為の発生を予防する高度な責務を負うところ、クラブのファン・サポーターへの監視体制の構築および啓発活動が十分であったとは言えない」と監視体制や啓発活動の不十分さを指摘している。

繰り返さないと宣言したにもかかわらず…

 さらにJリーグはFIFA(国際サッカー連盟)の決議で、13年7月に加盟各国協会にガイドラインを提示し、適切な対処を求めていることにも言及。JFAやJリーグの姿勢を明らかにしている。

「FIFAは2013年5月の総会で『人種差別・差別への戦い』に関して決議し、同年7月にはFIFA加盟各国協会に対してガイドラインを提示するとともに、諸規程を整備する等の適切な対処を求めている。これに対し、日本サッカー協会(JFA)は同年11月に規程を整備するとともに、加盟団体に対しても周知徹底している。これを受け、Jリーグにおいても、Jクラブに対する周知徹底を行ったり、トラブル事案が起こった際のマッチコミッショナーの手続きを定めたり、FIFA等に対して判例を調査し、どのような行為が差別に当たる可能性・危険性があるかをまとめて、各クラブに周知する等の対策を実施している」

そうしたうえで、今回のサポーターによる不適切なフラッグ掲出に関して制裁を加えた理由をこう付け加えた。

「2014年3月には埼玉スタジアムにて人種差別的な横断幕が掲出され、さらに、同年8月にはニッパツ三ツ沢球技場にてバナナが振られた。Jリーグとして、ひいてはサッカー界全体として二度と同様のことを繰り返さないと宣言したにもかかわらず、同種の差別的行為が発生したことは看過できない。以上より、本件制裁を決定するものとする」

なお、G大阪は4月21日にクラブ公式サイトで「ガンバ大阪公式戦における掲出物禁止について」の声明を発表している。

「政治的・宗教的思想を含む、もしくは連想させるフラッグ等の掲出は、Jリーグ共通ルールはもちろん、クラブも一切認めておらず、クラブとしても大変遺憾に思っております。クラブの管理も不徹底だったこともあり、二度とこのようなことが起こらないようにするためにも、当面ホームゲーム・アウェイゲームを問わず、全てのエリアにおけるガンバ大阪を応援する横断幕や旗(販売しているフラッグも含みます)、ゲートフラッグ等全ての掲出物を禁止とさせていただきます」

G大阪はJリーグ、AFCチャンピオンズリーグ、ルヴァン杯、天皇杯など全公式戦にて、全ての掲出物禁止を発表。サポーターに理解と協力を求めている。

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