【G大阪】深刻化する“今野ロス”。大黒柱復帰までの対処法は?

「今野のように動ける選手がいないなかで、グルグル回しながらやってますが…」(長谷川監督)

 G大阪の歯車が、大きく狂い始めている。

特に顕著なのが、3月の代表戦で負傷した今野泰幸の不在による「中盤の支配力低下」と「攻撃のアイデア不足」だ。

支配力と言っても、純粋なポゼッションではない。むしろ数字だけで言えば、ボール支配率やパス成功率は、1~4節(平均49.4%/76.1%)よりも、直近3試合(平均55.7%/79.9%)のほうが上回っている。しかし、5節の新潟戦以降、チーム成績は1勝1分2敗と一時の勢いは影を潜めた。選手同士の距離感が遠くなり、伝統の攻撃的なパスサッカーではなく、ロングボールやカウンターに依存した攻撃が増えている。

長谷川健太監督は前節の大阪ダービーで、今季一貫してアンカーで起用してきた遠藤保仁をインサイドハーフに回し、代わりに井手口陽介を中盤の底に置いた。その意図を問われた指揮官は、「次の対戦相手の監督も聞いていますので、難しい部分もありますが……」と言葉を選びながら、次のように説明している。

「コンちゃん(今野)が怪我したあと、なかなか今野のように動ける選手がいないなかで、グルグル回しながら今やっていますが、まだしっくりときていない部分もあります。その第1弾として(ACLの)江蘇蘇寧戦を踏まえて、ヤット(遠藤)の攻撃の部分をさらに引き出せればということで、あのポジション(インサイドハーフ)になりました」

もっとも、ゲームプランとは裏腹に、C大阪戦では遠藤が一列前に上がったことで、最終ラインから遠藤へのくさびを引っかけられるシーンが増加。「(倉田)秋とポジションチェンジしながら、バイタルエリアに絡んでいこうと思っていた」(遠藤)狙いも、山口蛍とソウザの2ボランチに封じられ、苦し紛れのパスに逃げるシーンが目に付いた。

「コンちゃんはサイドにいると中も外も行ってくれた。いないと偉大さが分かる」(藤春)

 開幕当初であれば、遠藤が徹底マークされると見るや今野がインサイドハーフから臨機応変にポジションを下げ、ビルドアップの“潤滑油”となっていた。しかし、今野が離脱中の今は、選手たちが「ビルドアップの際になかなか収めどころを作れなかった」(東口順昭)、「パスの出しどころがなかなかない。もっと全員が動くサッカーをしないと」(倉田)と口を揃えるように、攻撃の手詰まり感に苛まれている。

大阪ダービーの前半、C大阪にゲームを完全に支配され、藤春廣輝は改めて今野の存在の大きさを感じたという。

「いないと(偉大さが)分かるというか。コンちゃん(今野)はサイドにいると中も外も行ってくれて、後ろから見ていてすごく走るなと思っていた。だからこそ助かっていたんだなと。もちろん、誰が出てもそういうプレーができるのが一番だけど……」

では、今野に代わってインサイドハーフを務める倉田と井手口は、今のチームの課題をどのように捉えているのか。

「なんやろ……。今の俺たちは、相手のサッカーに合わせる傾向がある。ガンバはつないで、ずっとボールを保持するのがスタイルだけど、セレッソ戦はそれとは程遠かった。どんな相手でも、自分たちのスタイルを貫けるパフォーマンス力をつけないといけない」(倉田)

「ロングボールが多いし、蹴ってもセカンドボールを相手に拾われて、なかなか自分たちのリズムにならない。相手どうこうというより、『自分たちのサッカーをしよう』と話していたけど、セレッソ戦もそこは上手くいかなかった。まだまだ全然です」(井手口)

決して多いとは言えない決定機を、確実に決め、そして粘り強く戦うのが、本来の“長谷川ガンバ”のスタイルだ。今季から採用する3-5-2システムが機能している時は、2トップ、インサイドハーフ、ウイングバックが絡んだ厚みのある攻撃と、果敢なプレッシングからのショートカウンターを上手く使い分け、相手に脅威を与えていた。

しかし、中盤を経由する回数が減ることで、連動した攻撃は限られ、カウンターも頼みの綱であるアデミウソンの故障離脱(右内転筋肉離れで全治2~3週間)によって、機能不全に陥っているのが現状だ。

“今野ロス”を克服し、この苦境を乗り切れるか。

 遠藤が「できるだけビルドアップに参加しないといけないし、起点にもならないといけない。良い距離感でやる必要があるし、時にはポジションを崩していく必要もあると思う」と話せば、倉田も「コンちゃんがいない分、俺が全部やらないといけない気持ちはある。守備でも攻撃でも、すべての面でプレーに関わっていくつもり」と自らに発破をかけるように語気を強める。

現行のシステムで考えれば、ポイントはやはり中盤。今野の復帰が見込まれる5月初旬頃までは、いかに遠藤と倉田にボールを持たせてゲームメイクさせるかが、重要になるのは間違いないだろう。“今野ロス”を克服し、この苦境を乗り切れるか。G大阪の“模索の旅”はまだまだ続きそうだ。

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